五十嵐仁2014年12月20日 04:48総選挙後に安倍首相の表情が「終始険しかった」のはどうしてなのか
総選挙が投開票された翌日、12月15日付の『産経新聞』に「衆院選 首相が本気の民主潰し、
『大物』狙い撃ちを徹底」という記事が出ています。そこに何気なく書かれていた、
次のような文章に目が留まりました。
「衆院選は自民党が勝利を収めたが、安倍には忸怩(じくじ)たる思いが残る」
「衆院選は自公で3分の2超の議席を得たが、憲法改正は遠のいた。任期4年で
改憲勢力をどう立て直すのか。勝利とは裏腹に安倍の表情は終始険しかった」というのです。
なぜ安倍首相が「忸怩たる思い」を持ち、その「表情は終始険しかった」のでしょうか。
第1に、憲法をめぐる国会内の勢力分野が大きく変わってしまったからです。総選挙では、
次世代の党の壊滅、維新の党の不振、みんなの党の消滅という形で「第三極」は存在感を大きく低下させました。
その結果、「いざという時の第三極頼み」という戦術が取れなくなってしまったわけです。
とりわけ、改憲発議については衆参両院で3分の2を確保しなければなりませんが、参院での
3分の2は再来年の参院選で躍進しても自民党だけでは無理で、公明党が頼りにならない場合、
「第三極」を当てにしていたようです。
特に、次世代の党が大きな援軍でしたが、それがほとんど姿を消してしまいました。安倍さんとしては、
これほど大きな計算違いはなかったでしょう。
それに、与党の中でも与党内「野党」ともいうべき公明党が議席を増やし、与党内での比重を高めました。
公明党は、集団的自衛権の行使容認問題でもそうだったように、支持団体の創価学会内に平和志向の強い女性部を抱えています。
今後の関連法の改定や日米ガイドラインの改定などでもできるだけ「限定」する方向で抵抗するとみられます。
総選挙が終わってすぐに、安保法制の改定について、集団的自衛権行使容認の範囲を「日本周辺の地域」に限る方針
だとの報道がありました(『毎日新聞』12月18日付)が、これは公明党の意向を踏まえた方針転換だと思われます。
また、憲法についても公明党は9条を変える「改憲」ではなく、プライバシー権などの新たな条項を追加する
「加憲」の立場です。安倍首相の改憲戦略にとっては、「躓きの石」になるかもしれません。
さらに、それ以上に頭が痛いのは野党の中の野党ともいうべき共産党が躍進したことです。民主党も議席を
増やしましたから野党内の勢力地図は大きく塗り替えられ、安倍首相にとっては味方が減っただけでなく、
敵対する勢力が大きく増えたことになります。
その結果、これまで十分でなかった国会の各種委員会での委員を確保し、いままでよりずっと多くの共産党議員が
幅広い領域で論戦に参加できるようになります。様々な情報へのアクセスも容易になって調査能力が格段に増し、
省庁への影響力も強まり、独自の議案提案権によって法案を提出することができ、党首討論に志位委員長が出て
直接安倍首相と渡り合うことになります。
これほど、安倍首相にとって困った事態はないでしょう。険しい表情になるのは当然で、今からでも国会運営の
難しさにたじろぐ思いなのではないでしょうか。
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